なぜ日本に二大政党制が根付かないのか

ポイントは政党の「政権担当能力」

私は、日本国民が支持・投票する政党を決する際に、最も重視するのは、政党が政権担当能力を有するかどうかだと思います。

1955年の自由民主党の結党、そして左右の社会党の合流によって成立した「55年体制」のもと、伝統的に自民党が政権を担当してきました。自民党が野党に転落したのは自民党が分裂して55年体制が崩壊した1993年と、2009年の民主党選挙だけで、いずれもそう長くかからずに政権に復帰しています。

そのため、与党を経験したことがある議員がほぼ自民党にしかおらず、野党には、約3年間の民主党政権を経験した議員か、自民党を離党した議員くらいしかいません。

現在の野党をみると、政権担当能力を有する政党がありません。現状、ほぼ全ての小選挙区に候補者を擁立できている政党は、自民党と共産党しかありません。

民進党や日本維新の会には現有勢力が足りませんし、彼らがもし2009年の民主党政権のように一気に支持を得たとすれば、人材が不足してしまい、結局自民党に対峙しうる安定的な党勢を得ることはできないでしょう。

現在日本に二大政党制が定着していないのは、

  1. 日本の有権者が政党の政権担当能力を見極めて投票していること
  2. 伝統的に自民党が政権を担ってきたことで、政権担当能力を有する政党が自民党以外に存在しないこと

の2つの理由からだと考えます。

小選挙区制の導入の経緯

1993年に日本に小選挙区制が導入されたのは、政治腐敗の根源を派閥政治とし、その派閥政治を生んだ中選挙区制の改革が望まれたためです。

中選挙区制のもとでは、第一党になるためには各選挙区で複数の議席を獲得する必要があり、同じ自民党でありながら、複数の自民党候補が同じ選挙区で鎬を削らなければなりませんでした。

各選挙区の候補者は、政党の公認よりも派閥の支持によって当選していくため、同一政党の各派閥同士で争うことが常態でした。

主義主張が似通った同一政党の内部で派閥の領袖が自身の派を大きくするためには、政治家を抱え込むための大きな資金力が必要で、激しい派閥抗争のなかで汚職事件が起こったと考えられました。

このような中選挙区制に起因する構造的な問題が、政治腐敗の遠因として考えられたのです。

こうして、1993年に中選挙区制から小選挙区制に移行しました。




小選挙区制と二大政党制

リクルート事件を受けての政治改革の流れのなかで、小沢一郎氏らが構想したのは、政権交代可能な二大政党制の確立でした。

小選挙区制の導入は、金のかかる中選挙区制からの脱却というだけでなく、政権交代可能な二大政党制を実現して、自民党の一党支配の時とは異なる緊張感を政治に対しもたらす意図もありました。

中選挙区制では、たとえば大政党が2議席を目指すなかで1議席を獲得することを見込めますが、小選挙区制では、各選挙区でただ一人の当選者を生むため、小政党は議席の獲得が困難です。

こうして、小選挙区制では、得票率に比して、勝つ政党は多くの議席を得、負ける政党は議席が少なくなります。

このような理由から、勝ち負けがはっきりする小選挙区制は、二大政党制を生むと考えられたのです。

しかしながら、もう20年以上小選挙区制を実施していながら、日本には二大政党制は根付きません。

1993年、そして2009年と二度の政権交代が起こった理由には、小選挙区制の導入もありましょうが、一方で、二大政党制が定着しないのもまた、勝敗がはっきりしやすい小選挙区制の結果だと考えます。

2009年に下野し多くの議席を失った自民党は、それまでの経験や人材をもとに再起できましたが、2012年に下野した民主党は、未だに回復できない傷を負っています。

時間をかけて積もった自民党への不満と、その反動で大きな支持を受けて勝利したものの、大きく期待されたマニフェストの実現性が伴わずに失望された、あの民主党政権に固有の要因もあるのでしょう。

しかし、体力のない政党が小選挙区制の特徴を追い風に政権を取ってしまうと、政権担当能力のなさゆえに下野させられ、その際に小選挙区制の特性で負けが増幅し、逆に再起不能になってしまいます。

小選挙区制は、政権交代は起こりやすくなりますが、その先に二大政党制が定着するかはまた別の問題です。

まとめ

日本の無党派層の多さや、小選挙区制のもとで、「空中戦」を通じて急な支持を受けて強くなっても、結局自民党に対峙しうる勢力には成長しません。

民主党政権の反省などもあり、日本の有権者が政権党に望むのは、確かな政権担当能力だと思います。

二大政党制を定着させるためには、自民党を挫くのではなく、政党が地道に体力をつけるほかありません。

あるいは、1993年のように自民党が分裂し、自民党と、自民党を割ってでた保守系の新党の保守二大政党制はありえると思います。

ただし、その時には小沢氏のような「壊し屋」がおらず、さらなる分裂をせずに我慢できることが不可欠です。

日本に二大政党制が定着するためには、自民党の外で地道に政権担当能力を育むことが必要

日本における二大政党制の実現、自民党に対抗する勢力の構想については、次に記したいと思います。

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